マンション管理組合は、法人税法上「人格のない社団等」や「公益法人等」として扱われ、原則として管理費や修繕積立金などの収入には法人税がかかりません。しかし、屋上や共用部分を外部の事業者に貸し付けて収入を得た場合は、話が変わってきます。今回は、マンション管理組合が携帯電話の基地局(アンテナ)を設置するために屋上を貸し付けた場合の税務上の取扱いについて、図表を交えてわかりやすく解説します。
ケースの概要
あるマンション管理組合が、移動体通信業者との間で、マンション屋上(共用部分)に携帯電話基地局(アンテナ)を設置するための建物賃貸借契約を締結し、その対価として設置料収入を得ました。この設置料収入は、法人税法上の「収益事業」に該当するのでしょうか。
結論:不動産貸付業として課税される
結論として、この設置料収入は法人税法上の収益事業(不動産貸付業)に該当し、その所得に対して法人税が課税されます。
課税される理由
- 人格のない社団等・公益法人等の課税関係:マンション管理組合のような「人格のない社団等」や「公益法人等」は、各事業年度の所得のうち、収益事業から生じた所得以外には法人税が課されません。つまり、収益事業に当てはまる所得だけが課税対象になります。
- 収益事業の範囲:法人税法上の収益事業には、販売業や製造業などとあわせて「不動産貸付業」が含まれています。管理組合が賃貸借契約に基づいて建物の一部を他者に使用させ、その対価を得た場合は、この不動産貸付業に該当します。
- 今回のケースへのあてはめ:管理組合は通信業者と建物賃貸借契約を結び、マンション屋上の一部を使用させて設置料収入を得ているため、不動産貸付業に該当し、法人税の課税対象となります。
課税される収入・されない収入の違い
| 収入の種類 | 法人税の扱い |
|---|---|
| 区分所有者から徴収する管理費・修繕積立金 | 収益事業に該当せず、原則非課税 |
| 外部の通信業者への屋上(アンテナ設置場所)の貸付収入 | 不動産貸付業として収益事業に該当し、課税対象 |
| 区分所有者以外への駐車場の貸付収入 | 収益事業に該当し、課税対象(国税庁の別の質疑応答事例でも同様の取扱いが示されています) |
消費税の取り扱いにも注意
設置料収入は消費税の課税対象にもなります。ただし、その課税期間の基準期間(前々事業年度)における課税売上高が1,000万円以下であれば、納税義務が免除されます。なお、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても、前事業年度開始の日から6か月間の課税売上高が1,000万円を超えた場合には、その課税期間は課税事業者となる点に注意が必要です。
関係法令
- 法人税法第2条第13号、第3条、第5条、第6条
- 法人税法施行令第5条第1項第5号
マンション管理組合が屋上や共用部分を外部に貸し付けて収入を得る場合、その内容によっては法人税・消費税の申告が必要になることがあります。基地局の設置や駐車場の外部貸しなどを検討されている管理組合の方は、事前に税務上の取扱いについて専門家にご相談いただくことをおすすめします。
