「一般社団法人」「一般財団法人」は、公益性の認定を受けなくても比較的簡単に設立できる非営利の法人形態です。ただし、税金の面では「収益事業だけが課税される法人」と「すべての所得が課税される法人」に分かれます。今回は、その税務上の区分と基本的な仕組みを初めての方にもわかりやすく整理しました。
一般社団法人・一般財団法人とは
一般社団法人は「人の集まり(社員)」を基礎とする法人、一般財団法人は「財産の集まり」を基礎とする法人です。どちらも公益認定を受けていなくても設立できますが、税務上は、公益認定の有無や一定の要件を満たすかどうかによって、下表のとおり3つの区分に分かれます。
税務上の3つの区分
| 区分 | 内容 | 課税対象 |
|---|---|---|
| 公益社団法人・公益財団法人 | 行政庁から公益認定を受けた法人 | 収益事業から生じた所得のみ(公益目的事業は非課税) |
| 非営利型法人 | 公益認定は受けていないが、一定の非営利要件を満たす法人 | 収益事業から生じた所得のみ |
| 普通法人(非営利型法人以外) | 非営利要件を満たさない法人 | すべての所得が課税対象 |
「非営利型法人」と認められるための要件
非営利型法人には2つのパターンがあり、それぞれ以下の要件をすべて満たす必要があります。
①非営利性が徹底された法人
- 剰余金の分配を行わないことを定款に定めていること
- 解散したときは、残余財産を国・地方公共団体や一定の公益的な団体に贈与することを定款に定めていること
- 上記1・2に違反する行為を決定または実施していないこと
- 各理事とその親族等の合計が、理事総数の3分の1以下であること
②共益的活動を目的とする法人
- 会員に共通する利益を図る活動を行うことを目的としていること
- 定款等に会費の定めがあること
- 主たる事業として収益事業を行っていないこと
- 特定の個人・団体に剰余金を分配することを定款に定めていないこと
- 解散時の残余財産を特定の個人・団体に帰属させる定めがないこと
- 特定の個人・団体に特別の利益を与えないこと
- 各理事とその親族等の合計が、理事総数の3分の1以下であること
課税される「収益事業」とは
収益事業とは、物品販売業や不動産販売業、金銭貸付業など、法令で定められた34種類の事業のうち、継続して事業場を設けて行われるものをいいます。ただし、次のような事業は収益事業から除かれます。
- 公益社団法人・公益財団法人が行う公益目的事業
- 身体障害者や生活保護者などが従事者の半数(2分の1)以上を占め、その方々の生活の保護に寄与している事業 など
収入が少ない法人向けの届出の簡素化
公益法人等について、年間の収入合計額が8,000万円以下の場合には、確定申告書に添付する損益計算書等の提出が不要とされています。
公益法人だけの「みなし寄附金」制度
公益社団法人・公益財団法人が、収益事業の資産のうちから、収益事業以外である公益目的事業のために支出した金額は、その収益事業に係る寄附金とみなして損金に算入することができます。この制度は非営利型法人には適用されません。
法人区分が変わるときの税務上の取扱い
- 普通法人から公益法人等へ移行する場合:移行の前日に普通法人が解散し、移行した日に新たに公益法人等が設立されたものとみなして税務処理を行います。
- 公益法人等から普通法人へ移行する場合:これまでの収益事業以外の事業から生じた所得(または欠損金)の累積額を、益金または損金に算入します。
設立後に必要な税務署への届出
- 設立時に非営利型要件に該当しない場合は「法人設立届出書」の提出が必要です。
- 従業員などへの給与の支払いを開始する際は「給与支払事務所等の開設届出書」の提出が必要です。
公益認定の有無や非営利型要件の充足状況によって課税関係が大きく変わるため、一般社団法人・一般財団法人の設立をご検討の際は、事前に税務上の取扱いを確認しておくことが大切です。ご不明な点がございましたら、お気軽に専門家へご相談ください。
