財務省が公表した「令和8年度税制改正」のうち、個人の所得税に関わる主な改正内容を図表を交えてわかりやすく解説します。基礎控除の引き上げ、住宅ローン控除の拡充、NISAの拡充、高所得者への負担適正化、ひとり親控除の拡充が主なポイントです。
(1)物価上昇局面における基礎控除等の対応
2年ごとに物価上昇に連動して基礎控除等を引き上げることとし、基礎控除の額及び給与所得控除の最低保障額をそれぞれ4万円引き上げます。あわせて、令和7年度税制改正で措置した基礎控除の上乗せ特例について、合計所得金額489万円(給与収入665万円相当)以下の場合の上乗せ額を42万円まで引き上げるとともに、給与所得控除の最低保障額を5万円上乗せする特例を創設します(いずれも令和8・9年分)。
(2)住宅ローン控除の拡充
適用期限を令和12年入居分まで5年間延長した上で、既存住宅の利活用の促進や省エネ性能の向上の観点から、一定の既存住宅に係る借入限度額の引上げ等を行います。
| 区分 | 借入限度額(新築・買取再販) | 借入限度額(既存住宅) | 控除期間 |
|---|---|---|---|
| 認定長期優良・低炭素住宅 | 4,500万円(子育て世帯等5,000万円) | 3,500万円(子育て世帯等4,500万円) | 新築等13年/既存10年 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円(子育て世帯等4,500万円) | 2,000万円(子育て世帯等3,000万円) | 新築等13年/既存10年 |
| 省エネ基準適合住宅 | 2,000万円(子育て世帯等3,000万円) | 2,000万円(子育て世帯等3,000万円) | 新築等13年/既存10年 |
| その他の住宅 | 令和10年以降新築は対象外 | 2,000万円 | 10年 |
(3)NISAの拡充
次世代の資産形成を促進し、長期・安定的な投資を通じて大学進学等、成人後のライフイベントに伴う必要資金を備えられるよう、つみたて投資枠の対象年齢を0~17歳に拡充し、年間投資枠及び非課税保有限度額を設定します。12歳以降において、子の同意を得た場合のみ、親権者等による払出しを可能とします。
| 区分 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
|---|---|---|
| 対象年齢 | 0~17歳 | 18歳以上 |
| 年間投資枠 | 60万円 | 120万円/240万円 |
| 非課税保有限度額 | 600万円(18歳到達後、成長投資枠へ自動的に移行) | 1,800万円(うち成長投資枠1,200万円) |
| 投資方法 | 契約に基づき定期かつ継続的な方法で投資。12歳以降は一定要件の下、払出しが可能 | 制限なし |
(4)極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置の見直し
税負担の公平性の観点から、極めて高い水準の所得に対する負担の適正化のための措置を見直します(令和9年分の所得から適用)。
(5)ひとり親控除の拡充
ひとり親控除の制度について、控除額35万円を38万円に引き上げます(令和9年分の所得から適用)。
- 次のいずれかに該当すること(現に婚姻をしていない者、又は配偶者の生死の明らかでない者)
- 生計を一にする子を有すること
- 合計所得金額500万円以下
- 事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる者がいないこと
出典 財務省「令和8年度税制改正」1 個人所得課税(https://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei2026_pdf/zeisei26_01.pdf)
