医療法人の設立認可を受けた後、実際に病院・診療所を開設して事業を始めるまでには、登記や許可申請など複数の手続が必要です。ここでは、東京都の手引きをもとに、設立認可後の主な手続の流れを図表を交えてわかりやすく解説します。
1 手続の概要(病院・診療所の場合)
医療法人の設立認可時に、東京都から認可書が交付されます。認可書を受領した後は、次の順序で事務手続を行います。医療法人成立後、1年以内に開設の手続を行わない場合は、設立認可が取り消されることがあるため注意が必要です。
- 医療法人設立認可(認可書受領)‐東京都
- 医療法人設立登記(設立に必要な手続が終了した日から2週間以内)‐地方法務局(登記所)
- 登記届‐東京都
- 病院(診療所)開設許可申請‐所管の保健所
- 病院(診療所)開設許可(許可書受領)‐所管の保健所
- 病院(診療所)使用許可申請(病床を有しない診療所は不要)‐所管の保健所
- 病院(診療所)使用許可(許可証受領)‐所管の保健所
- 個人開設の病院(診療所)廃止届・病院(診療所)開設届(廃止・開設後10日以内)‐所管の保健所
※医療法人設立認可申請時に、個人で病院(診療所)を開設しており、それを医療法人の開設に変更する場合は、個人開設の病院(診療所)を廃止しなければなりません。エックス線装置を有している病院(診療所)は所管の保健所への備付届等の提出が、保険医療機関の指定を受ける場合は所管の地方厚生局への指定申請が、それぞれ必要です。
2 医療法人の設立登記
医療法人は設立認可を受けた後、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることにより成立します(医療法第46条第1項)。登記に関する手続は組合等登記令により規定されています。設立時の登記事項は次のとおりです。
| 登記事項 | 登記例・内容 |
|---|---|
| 目的等 | 病院(診療所等)を経営し、科学的でかつ適正な医療を普及することを目的とする旨、及び開設する施設の名称・場所 |
| 名称 | 医療法人○団○○会 等 |
| 主たる事務所 | 所在地(従たる事務所を定めたときはそちらも登記) |
| 役員に関する事項 | 理事長の住所・氏名 |
| 資産の総額 | 財産目録の純資産(正味資産額) |
医療法人の設立登記は、設立の認可その他設立に必要な手続(拠出額の払込み等)が終了した日から2週間以内に、主たる事務所の所在地を管轄する地方法務局(登記所)で行わなければなりません。従たる事務所を置く場合は、主たる事務所の所在地の登記をした日から2週間以内に、従たる事務所の所在地を管轄する登記所で登記します。拠出(財団の場合は寄附)を受けて医療法人の資産となった土地・建物については、所有権移転登記も行います。設立登記が完了した後は、登記事項証明書(履歴事項全部証明書)を取り、医療法人の登記事項の届出を東京都知事宛てに提出します。
3 病院・診療所・介護老人保健施設・介護医療院の開設
設立の登記が完了することにより医療法人が成立します。成立後は、定款(財団の場合は寄附行為)に定める病院、診療所、介護老人保健施設又は介護医療院の開設手続を行います。成立後1年以内に開設しない場合は、設立の認可を取り消されることがあります(医療法第65条)。開設の手順は次のとおりです。
- 設立登記が完了した後、定款(寄附行為)に定める診療所等の開設許可申請を所管の保健所に行う(医療法第7条第1項)
- 開設許可を受けた後、施設の使用開始予定時期を考慮したうえで、所管の保健所に使用許可申請を行う(医療法第27条。病床を有しない診療所は不要)
- 使用許可を受けて開設後10日以内に、所管の保健所に開設届を提出する(病床を有しない診療所は、開設許可を受けて開設後10日以内に開設届を提出)
なお、個人開設から医療法人開設に切り替えた場合は、従来の開設者名での廃止届を、上記開設届と同時に所管の保健所に提出します(医療法第9条第1項)。
(参考)申請書等一覧
| 区分 | 申請書 | 提出先 | 許可(受理)権者 |
|---|---|---|---|
| 病院を開設する場合 | 病院開設許可申請書 | 保健所 | 東京都知事 |
| 病院使用許可申請書 | 保健所 | 東京都知事 | |
| 病院開設届 | 保健所 | 東京都知事 | |
| 病院廃止届 | 保健所 | 東京都知事 | |
| 診療所を開設する場合 | 診療所開設許可申請書 | 保健所 | 保健所長 |
| 歯科診療所開設許可申請書 | 保健所 | 保健所長 | |
| 診療所(歯科診療所)使用許可申請書 | 保健所 | 保健所長 | |
| 診療所(歯科診療所)開設届 | 保健所 | 保健所長 | |
| 診療所(歯科診療所)廃止届 | 保健所 | 保健所長 |
4 その他の手続
医療法人成立後は、所管の地方厚生局への保険医療機関の指定申請のほか、税務署、都税事務所、区市町村、労働基準監督署、公共職業安定所、年金事務所等の諸官庁への手続も必要です。銀行口座の変更、電気・水道・ガス・電話等の名義変更や、拠出(寄附)を受けて法人の資産となったものの名義換えの手続もあわせて行う必要があります。
