宗教法人が境内地や境内建物を取得した際、宗教法人法第3条に規定する「境内地・境内建物」に該当することの証明を受けると、登録免許税が非課税となります。本記事では、東京都生活文化局都民生活部管理法人課宗教法人担当が公表している手引きをもとに、証明申請の要件・必要書類・手続きの流れと、あわせて必要となる「公告」の実務ポイントを図表で整理します。
境内地・境内建物証明とは
「境内地・境内建物証明書」は、あくまでも登録免許税に関する非課税証明であり、税金全般が非課税になることを証明するものではありません。不動産取得税は取得時点の状況に応じて都道府県課税庁が、固定資産税は毎年の実態に応じて市区町村(特別区は都)課税庁が、それぞれ別に判断・決定します。証明書は各課税庁への参考資料としても求められることがあるため、必ず複写を保管しておきましょう。
証明の対象は、宗教法人が専ら自己又はその包括する宗教法人の宗教の用に供する境内地・境内建物に限られ、事業用の物件は対象外です。また、既に登録免許税を納付済みの場合は還付請求ができないため証明は行われません。証明手数料は、土地1筆・建物1棟ごとに8,100円です。
必要書類一覧(境内地・境内建物)
| 境内地の場合 | 境内建物の場合 |
|---|---|
| ①申請書2部 | ①申請書2部 |
| ②土地登記簿(全部事項証明書) | ②建物登記簿(全部事項証明書) |
| ③公図(地図証明書) | ③建物図面・各階平面図(図面証明書) |
| ④建物図面・各階平面図(図面証明書) | ④建物内部の間取図 |
| ⑤責任役員会議事録<写> | ⑤建築確認済証<写>及び検査済証<写> |
| ⑥総会・総代会等の同意書<写> | ⑥責任役員会議事録<写> |
| ⑦取得原因書面(売買契約書等)<写> | ⑦総会・総代会等の同意書<写> |
| ⑧最寄り駅からの道案内図 | ⑧包括団体の承認書<写> |
| ⑨その他必要に応じた書類(農地転用許可書、公告文・公告確認証明書等) | ⑨公告文<写>及び公告確認証明書<写> |
| ― | ⑩取得原因書面(建築請負契約書等)<写> |
| ― | ⑪最寄り駅からの道案内図 |
「<写>」と記載された書類には、原則として原本証明(宗教法人が「原本と相違ない」旨を記載・押印したもの)を付ける必要があります。また、代表役員以外の方が代理で申請する場合は、法人名・法人住所・代表役員名(法人印押印)・代理人氏名住所・委託内容を明記した委任状が必要です。
申請手続きの流れ
- ①責任役員会の議決(境内建物の場合はあわせて包括団体の承認)
- ②総会・総代会等の同意
- ③必要な場合は「公告」(借入・保証、境内建物新築、境内地の用途変更等を伴うとき)
- ④証明申請書を郵送で提出
- ⑤申請書類審査
- ⑥現地調査(専ら宗教法人の用に供されていることを確認)
- ⑦証明書交付
- ⑧東京法務局出張所(登記所)で登記
提出先:〒163-8001 東京都新宿区西新宿二丁目8番1号 都庁第一本庁舎19階南 東京都生活文化局都民生活部管理法人課宗教法人担当(提出は郵送)
あわせて必要になる「公告」の実務
財産の処分・担保提供、借入・保証、境内建物の新築、境内地の著しい模様替、用途変更、規則変更、合併、解散など、宗教法人法が定める一定の行為を行う際は、信者その他利害関係人に対して事前に「公告」を行う必要があります。公告を要する主な事項と据置期間は次のとおりです。
| 公告を要する場合 | 据置期間 | 公告する者 | 根拠条文 |
|---|---|---|---|
| ①設立(規則案の要旨) | 1ヶ月 | 設立代表者 | 法12Ⅲ |
| ②財産の処分・担保の提供 | 1ヶ月 | 代表役員 | 法23① |
| ③借入・保証 | 1ヶ月 | 代表役員 | 法23② |
| ④境内建物の新築等 | 1ヶ月 | 代表役員 | 法23③ |
| ⑤境内地の著しい模様替 | 1ヶ月 | 代表役員 | 法23④ |
| ⑥境内建物・境内地の用途変更 | 1ヶ月 | 代表役員 | 法23⑤ |
| ⑦規則変更(被包括関係の設定・廃止のみ) | 2ヶ月 | 代表役員 | 法26Ⅱ |
| ⑧吸収合併 | 2ヶ月 | 代表役員/債権者への催告 | 法34 |
| ⑨新設合併 | 2ヶ月 | 各法人の規則作成者 | 法34・法35Ⅲ |
| ⑩被包括関係の設定・廃止を伴う合併 | 2ヶ月 | ― | 法36 |
| ⑪解散 | 1ヶ月 | 代表役員 | 法44Ⅱ |
据置期間とは、公告完了後、その行為を行う前に信者へ周知するために設けられた期間で、根拠条文欄に掲げる宗教法人法の各規定に定められています。公告の方法は各宗教法人の規則で定めるところによります。
公告期間・据置期間の数え方(例)
手引きでは、公告開始日が4月1日で、事務所の掲示場に10日間掲示するケースを例に、次のように数え方を示しています。
- 公告開始(掲示した)日:4月1日
- 公告期間の起算日:4月2日(掲示した日は含めない)
- 公告期間満了日:4月11日(正味10日間=24時間×10日分が必要なため、実際の掲示は12日間に及ぶ)
- 公告取外しはこの日以降:4月12日
- 据置期間の開始:4月12日から
- 据置期間満了日:1ヶ月間の場合は5月11日、2ヶ月間の場合は6月11日
- 行為開始日:満了日の翌日(5月または6月の12日)以降
公告文を掲示した日と取り外した日は、いずれも「掲示期間」の日数には含めない点に注意が必要です。
公告確認証明書のポイント
公告を行った事実を証明する「公告確認証明書」には、次の点に留意します。
- 確認者は、信者その他利害関係人(法人規則に定める機関の役員を除く)のうち3名以上とし、署名・押印する
- 公告期間は、法人規則書に定める公告掲載日数に前後2日間をプラスした日数を記載する(公告開始日・取外し日を含む)
- 公告の事実を証明するため、掲示した状況を写真に撮り添付する
- 原本は法人内に保管し、所轄庁へは<写>に原本証明を付して提出する
まとめ
境内地・境内建物の取得に伴う登録免許税の非課税証明は、①責任役員会・総会等の手続き、②必要に応じた公告と据置期間の経過、③証明申請、④現地調査を経て交付されます。書類の不備や公告期間の数え違いは手続きの遅延につながるため、事前に窓口へ相談のうえ、原本証明の付与や添付書類の過不足がないよう早めに準備を進めることが重要です。
出典:東京都生活文化局都民生活部管理法人課宗教法人担当「宗教法人のための土地・家屋の税金の手引き」
https://www.seikatubunka.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/seikatubunka/tebiki_menzei
