株式会社を設立した後、役員(取締役・監査役)の任期が満了しても、同じ人がそのまま再任されることはよくあります。しかし「人が変わっていないから登記は不要」と思われがちですが、これは誤りです。再任の場合でも役員変更の登記(法務局では「重任」の登記といいます)が必要になります。法務省の案内をもとに、役員変更登記の要点を図表で整理しました。
再任でも役員変更登記が必要な理由
役員の任期が満了した後、間を置かずに同じ人が役員に再選任された場合であっても、法律上は「任期満了により一度退任した役員が、再び就任した」という扱いになります。役員の登記事項に変更が生じているため、株式会社の場合は役員の任期満了から2週間以内に、役員変更の登記を申請する必要があります(会社法第915条第1項)。
株式会社の役員の任期
| 役員 | 原則の任期 | 非公開会社での伸長 |
|---|---|---|
| 取締役 | 選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結時まで | 定款により選任後10年以内まで伸長可能 |
| 監査役 | 選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結時まで | 定款により選任後10年以内まで伸長可能 |
| 代表取締役 | 取締役の地位に基づくため、取締役の任期満了時に代表取締役の任期も満了 | |
「公開会社」とは、発行する株式の全部または一部について、譲渡に会社の承認を要する旨の定款の定めがない株式会社のことをいい、株式を証券市場に公開しているかどうかとは関係ありません。多くの中小企業は非公開会社にあたるため、定款で任期を10年まで伸ばすことで、登記の頻度を減らすことも可能です。
役員変更登記の申請書類
| 場面 | ポイント |
|---|---|
| 再任(重任)の場合 | 就任承諾書等は必要だが、本人確認証明書の添付は不要 |
| 新任・新たな就任の場合 | 就任を承諾したことを証する書面に加え、住民票の写しや運転免許証の写しなどの本人確認証明書の添付が必要 |
| 旧氏を併記したい場合 | 役員・清算人について、旧氏を登記記録に併記するよう申し出ることが可能 |
登記を怠った場合のリスク
| リスク | 内容 |
|---|---|
| 過料 | 登記すべき期間内に申請を怠った代表取締役は、裁判所から100万円以下の過料に処される可能性がある(会社法第976条) |
| みなし解散 | 株式会社で最後の登記から12年経過すると休眠会社として整理作業の対象となり、届出をしないと解散したものとみなされ、職権で解散登記がされる |
役員の任期管理は、設立当初は気づきにくいものの、放置すると過料やみなし解散のリスクにつながる重要な手続です。定款の任期の定めの確認や、役員変更登記のタイミングでお困りの際は、当事務所までお気軽にご相談ください。
