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役員貸付金が招く税務リスクとは?認定利息と役員賞与認定に要注意

中小企業では、役員が会社からお金を借りている「役員貸付金」がそのまま決算書に残っているケースが少なくありません。旅費や交際費の精算があいまいなまま貸付金として処理されたり、一時的な立て替えのつもりが長期化してしまったりと、発生の経緯はさまざまです。一見すると社内での資金融通に過ぎないようにも思えますが、税務上は見過ごせないリスクをいくつも抱えています。

そもそも「役員貸付金」とは

役員貸付金とは、会社が役員に対して金銭を貸し付けている状態を指し、決算書上は資産の部に「貸付金」や「仮払金」として計上されます。役員個人の生活費や住宅資金に充てられたもの、経費精算が不明瞭なまま処理されたものなど内容はさまざまですが、いずれの場合も会社から役員へお金が流出している点は共通しています。返済計画が明確でないまま毎期残高が積み上がっていくと、後述するようなリスクが徐々に大きくなっていきます。

役員貸付金が抱える税務上のリスク

①認定利息の計上義務

会社が役員へ金銭を貸し付ける場合、税務上は本来収受すべき利息を受け取っているものとして扱われます。これが「認定利息」です。無利息または相場より低い利率で貸し付けていると、本来収受すべき利息額と実際に受け取った利息額との差額が、役員に対する給与として課税対象になります。

基準となる利率は、会社が金融機関などから借り入れてそれをそのまま貸し付けている場合はその借入利率、それ以外の場合は毎年国税庁が示す利率によります。近年はおおむね年0.9パーセント前後という低い水準で推移していますが、それでも無利息のまま放置すれば差額はそのまま課税対象になります。差額が給与と認定されると、会社側には源泉徴収の義務が生じ、これを怠っていた場合は税務調査で指摘を受け、追徴課税や延滞税の負担が発生することもあります。役員個人にとっても、想定していなかった給与所得が発生し、所得税・住民税の負担が増えることになります。

なお、災害や病気などによる臨時の生活資金の貸付け、会社の平均調達金利など合理的な利率を定めたうえでの貸付け、差額が年5,000円以下にとどまる少額なケースなど、一定の条件を満たす場合には給与課税を受けない扱いも用意されています。とはいえ、これらに当てはまらない限り、無利息・低利息の貸付けは原則として課税リスクを抱えたままになる点には注意が必要です。

②会社の財務内容や対外的信用への影響

役員貸付金が資産として計上され続けているということは、会社の資金が実質的に社外へ流出したままになっていることを意味します。決算書の見た目上は資産が積み上がっていても、実態としては回収の見込みが薄いケースも多く、金融機関の融資審査などでは「実質的に回収不能な資産」とみなされ、評価を下げられる要因になりかねません。結果として、本来受けられるはずの融資条件が悪化したり、取引先からの信用力に影響が及んだりするおそれもあります。

貸付金を放棄(債務免除)した場合の役員賞与認定リスク

返済のめどが立たない役員貸付金について、会社が債務免除(貸付金の放棄)という形で整理しようとするケースもありますが、この処理には重大な税務リスクが伴います。税務上、役員に対する貸付金の債務免除は、原則として役員賞与を支給したものとして取り扱われるためです。

会社側への影響として、役員賞与は事前確定届出給与などの所定の手続きを経たものでない限り、法人税の計算上損金に算入できません。さらに、源泉徴収を行っていなかった場合には、後日の税務調査で源泉徴収漏れを指摘され、本税に加えて不納付加算税などのペナルティが追加で課される可能性もあります。役員個人への影響としては、免除された貸付金の全額が給与所得として課税されるため、所得税・住民税の負担が一気に増加します。金額が大きい場合には、その納税資金を別途工面しなければならない事態にもなりかねません。

つまり、「貸付金をなかったことにする」つもりで安易に放棄しても、会社・役員個人の双方に想定外の追加負担が生じる可能性が高いのです。

状況会社への影響役員個人への影響
適正な利息を収受し、計画的に返済特になし特になし
無利息・低利息のまま放置源泉徴収義務・追徴課税のリスク認定利息差額が給与所得として課税
貸付金を債務免除(放棄)損金不算入、源泉徴収漏れによる不納付加算税リスク免除額全額が給与所得として課税

まとめ

役員貸付金は、社内の資金繰りの一環として軽視されがちですが、実際には認定利息による課税リスクと、整理しようとした際の役員賞与認定リスクという二重の問題を抱えています。既に役員貸付金が発生している場合は、そのまま放置したり安易に放棄したりする前に、専門家に相談しながら計画的な返済や適正な利率設定など、リスクの少ない解消方法を検討することをおすすめします。

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