相続や遺贈によって財産を取得した方が、その財産を相続税の申告期限までに一定の公益性の高い法人へ寄附した場合、その寄附した財産は相続税の課税対象から除かれる特例があります。学校法人、社会福祉法人、認定NPO法人なども対象法人に含まれており、寄附を受け入れる法人側にとっても、寄附者への説明や受入時の手続きを正しく理解しておくことが大切です。本記事では、この非課税制度の仕組みと対象法人、申告手続きのポイントを図表で整理します。
制度の概要
相続または遺贈により取得した財産(生命保険金・退職手当金など、相続税の課税対象となるものを含みます)を、相続税の申告期限までに特定の公益法人などへ寄附した場合、その寄附をした財産は相続税がかからないものとされます。適用を受けるには、相続税の申告書にその旨を記載し、必要書類を添付する必要があります。
非課税の対象となる寄附の主な要件
- 相続または遺贈によって取得した財産であること(生命保険金・退職手当金を含む)
- 相続税の申告期限までに寄附をすること
- 相続税の申告書に特例の適用を受ける旨を記載し、必要書類を添付すること
非課税の対象となる法人
| 区分 | 対象となる法人・制度 |
|---|---|
| 特定の公益法人等 | 独立行政法人/国立大学法人・大学共同利用機関法人/地方独立行政法人/公立大学法人/日本赤十字社・自動車安全運転センターなど指定された特定の機関/公益社団法人・公益財団法人/学校の設置を主たる目的とする学校法人/社会福祉法人/更生保護法人 |
| その他の対象 | 認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)/公益信託 |
学校法人は「学校の設置を主たる目的とする」ものが対象となる点、社会福祉法人はそのまま対象法人に含まれている点、認定NPO法人は次のとおり別枠の要件が定められている点が、それぞれのポイントです。
認定NPO法人への寄附の要件
認定NPO法人への寄附については、特定非営利活動促進法第2条第1項に規定する「特定非営利活動」に係る事業に関連する寄附であることが要件となります。認定を受けていない、いわゆる「一般のNPO法人」への寄附はこの特例の対象にはなりません。
非課税の適用が受けられなくなるケース
寄附を受けた日から2年を経過した日までに、次のいずれかに該当する場合は、この特例の適用が受けられなくなります。
- 寄附を受けた法人が、その時点で対象法人としての要件を満たさなくなった場合
- 寄附を受けた財産を、その公益を目的とする事業の用に供していない場合、または供しなくなった場合
- 寄附をした人が、その寄附により当該法人などから特別の利益を受けている場合
寄附を受け入れる法人側としては、受け入れた財産を寄附の目的どおりに公益事業の用に供し続けていることを、後日証明できるよう記録・管理しておくことが重要です。
相続税申告における手続き
この特例の適用を受けるには、相続税申告書の第14表に寄附または支出した財産の明細を記載したうえで、寄附先の区分に応じて次のような書類を添付します。
| 寄附先の区分 | 申告書に添付する主な書類 |
|---|---|
| 公益法人等への寄附 | 寄附を受けた年月日・財産の明細・使用目的を記載した書類(地方独立行政法人または学校法人の場合は、設立団体または所轄庁の証明書も必要) |
| 認定NPO法人への寄附 | 寄附を受けた年月日・財産の明細・使用目的を記載した、認定NPO法人作成の書類 |
| 公益信託への支出 | 受託者による受領証明書、主務大臣の認定に関する書類(認定日の記載が必要) |
学校法人・社会福祉法人・NPO法人など公益性の高い法人が相続財産の寄附を受け入れる際は、この非課税制度の要件を正しく理解し、寄附者が特例の適用を受けられるよう必要書類を適切に整備することが大切です。寄附の受け入れや会計処理でご不明な点がございましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。
