試験研究費税額控除制度では、対象となる人件費について「専門的知識をもって試験研究の業務に専ら従事する者」に係るものに限られています。この「専ら」要件について、研究専属部門に所属していない兼務者でも該当し得ることを明確にした国税庁の通知(平成15年12月25日)をもとに、実務上のポイントをご紹介します。
制度の対象となる人件費
試験研究費税額控除制度では、租税特別措置法施行令の規定により、対象人件費は「専門的知識をもって当該試験研究の業務に専ら従事する者」に係るものに限定されています。実務上、この要件は試験研究部門に所属する者や「研究者」の肩書を持つ者に限られると誤解され、適用を見送る例があったことから、中小企業庁が国税庁に照会を行い、その解釈が明確化されました。
背景-中小企業では兼務が一般的
中小企業では人的な余裕が乏しく、限られた経営資源の中で試験研究に取り組まざるを得ないため、試験研究以外の業務と兼務するケースが多く見られます。この通知は、そうした兼務者であっても、一定の要件を満たせば「専ら従事する者」に該当し得ることを示したものです。
兼務者が「専ら」要件を満たすための4つの要件
研究プロジェクトの全期間には従事しないものの、次のすべてを満たす場合は「専ら従事する者」に該当します。
- 研究プロジェクト計画における設計・試作・開発・評価・分析・データ収集等の業務のうち、専門的知識をもって担当する業務(担当業務)に、その業務が行われる期間、専属的に従事していること
- 担当業務が試験研究のプロセスの中で欠かせないものであり、かつ当該者の専門的知識が担当業務に不可欠であること
- 従事の実態がおおむね研究プロジェクト計画に沿っており、従事期間がトータルで相当期間(おおむね1か月・実働20日程度)以上あること。断続的に従事する場合でも、各期間の合計で判断できます
- 担当業務への従事状況が明確に区分され、それに係る人件費が適正に計算されていること
試験研究費税額控除は控除額も大きく、適用の可否が税負担に直結する制度です。兼務者の人件費が対象となるかどうかの判断には専門的な確認が必要となりますので、制度の活用をご検討の際は当事務所までお気軽にご相談ください。
