お電話でのご相談・お問い合わせ

電話アイコン03-3426-5485

受付時間 9:00-17:00(土日祝休)

無料相談のご予約 お問い合わせフォームへ

法人税

関連者間取引の書類保存義務とは-法人税における特定事項記載書類のポイント

グループ会社間や親子会社間などの「関連者間取引」について、令和8年6月30日付で国税庁から新たな事務運営指針が示されました。取引に関する書類の記載内容が不十分な場合に追加の書類保存が求められる特例の運用方針を示すもので、グループ内取引を行う法人にとって実務上の影響があります。ポイントを整理します。

制度の背景

法人税法上、取引に関して受け取った注文書・契約書等の書類は保存が必要ですが、特に一定の支配関係がある法人間の取引(グループ内取引)では、当事者間の関係から詳細な資料が作成されないことも多く、取引の実態が外部から把握しにくいケースがあります。このため、必要な記載事項が書類に記録されていない場合、その記載がない事項(特定事項)を明らかにする書類(特定事項記載書類)を取得・作成し、保存することが求められています。

損金算入との関係

特定事項記載書類の保存等は、その基となった関連者間取引に係る費用の損金算入の要件そのものではありません。書類が整っていないことのみをもって、直ちに損金算入が否認されるわけではなく、帳簿書類その他の資料から実態把握を行った上で判断されるとされています。

求められる記載の程度

本特例は、通常求められる範囲を超える詳細な資料の一律保存を求める趣旨ではなく、第三者の立場から取引内容を客観的に把握できる程度の記載があれば足りるとされています。対象となるのは、主に工業所有権等(知的財産権など)の譲渡・貸付けに関する取引と、役務の提供(経営管理・指導、費用分担等)に関する取引です。

税務調査時の対応

  • 特定事項記載書類は、原則として納税地または関連者間取引に係る国内の事務所等で保存する必要があります
  • 親会社等が一元的に書類を保存している場合でも、調査担当者の求めに応じて遅滞なく入手・提示できれば、保存等がなされているものとして扱われます
  • 保存が不十分と認められる場合、調査担当者は取引区分・記載事項・不足の程度を明示した上で、合理的な期間を定めて書類の取得・作成と提示を求めることとされています

青色申告の承認取消しとの関係

特定事項記載書類の保存義務違反は青色申告の承認取消し事由になり得ますが、保存の有無のみで機械的に取消しが判断されるものではなく、違反の程度等を踏まえて適切に判断するとされています。義務違反の程度が軽微な場合は、取消処分ではなく改善指導にとどめることもできます。なお、欠損金の繰越控除の要件である帳簿書類の保存にも関わるため、特定事項記載書類が不十分だと繰越控除が認められない可能性がある点にも注意が必要です。青色申告法人以外の普通法人等についても本特例は適用され、実態把握が困難な場合は推計課税の要否が検討されることになります。

実務上のポイント

グループ会社間で知的財産の使用許諾や経営指導料、業務委託などの取引を行っている法人は、契約書や請求書に取引内容・対価の算定根拠等が十分に記載されているかを改めて確認しておくことをお勧めします。記載が不十分な場合に備え、取引の実態を説明できる資料を整理しておくことが望ましいでしょう。詳細は当事務所までお気軽にご相談ください。

-法人税