このページは「相続財産診断書(生前対策・二次相続シミュレーション)」の見本(サンプル)です
丹羽総合会計事務所が相続対策のご相談でお渡ししている診断書の構成を、ウェブ用に再現したものです。当事務所では相続シミュレーション専用のシステムで、親族・財産の情報をもとに最大100通りの遺産分割案と、2次相続までの税額、対策ごとの効果を試算しています。ご家族・財産の金額はすべて架空で、税額は説明のための概算です。
A家(架空)のお父様(82歳)はご存命です。お父様・お母様の財産を登録し、「いま相続が起きたら税金はいくらか」「お母様の相続(2次相続)まで含めるとどの分け方がよいか」「どの対策がどれだけ効くか」の3点を診断しました。
1. 親族情報

| 続柄 | 年齢 | 法定相続分 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 母(配偶者) | 79歳 | 1/2 | 父と同居。自身の財産1,500万円 |
| 長男 | 54歳 | 1/4 | 別居・持ち家あり。子(孫)2人 |
| 長女 | 51歳 | 1/4 | 別居・持ち家あり。子(孫)2人 |
2. 財産情報(財産一覧)

| 財産の種類 | 相続税評価額(千円) | 特例・非課税 |
|---|---|---|
| 自宅の土地(240㎡) | 60,000 | 小規模宅地等の特例(母が相続・80%減)△48,000 |
| 自宅の建物 | 5,000 | |
| 月極駐車場の土地(更地) | 40,000 | |
| 預貯金 | 80,000 | |
| 上場株式・投資信託 | 30,000 | |
| 生命保険金(受取人:母) | 10,000 | 非課税(500万円×3人の枠内)△10,000 |
| 債務・葬式費用 | △3,000 | |
| 課税価格の合計 | 164,000 | 特例・非課税を差し引いた後 |
自宅の土地は、お母様が相続すると「小規模宅地等の特例」で評価額を80%減らせます。2次相続では、同居していない長男・長女は原則としてこの特例を使えません。
3. 現状の相続税の試算(1次相続)
お母様が自宅と金融資産2,000万円を相続する分け方(分割案②)で、いま相続が起きた場合の試算です。
| 項目 | 金額(千円) |
|---|---|
| 課税価格の合計 | 164,000 |
| 基礎控除(3,000万円+600万円×3人) | △48,000 |
| 課税遺産総額 | 116,000 |
| 相続税の総額 | 18,100 |
| 配偶者の税額軽減 | △4,084 |
| 納付税額の合計(1次相続) | 14,016 |
4. 遺産分割案シミュレーション(2次相続を含む比較)
お母様の取得額を変えて、1次相続と2次相続(お母様が亡くなったとき)の税額の合計を比べました。実際の診断書では、最大100通りの分け方を一覧で比較します。

| 分割案 | 母の取得額(千円) | 1次相続税 | 2次相続税 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| ① 母は自宅のみ | 27,000 | 16,224 | 6,200 | 22,424 |
| ② 自宅+金融資産2,000万円 | 47,000 | 14,016 | 9,600 | 23,616 |
| ③ 自宅+金融資産4,000万円 | 67,000 | 11,809 | 13,600 | 25,409 |
| ④ 法定相続分に近い分け方 | 92,000 | 9,050 | 19,900 | 28,950 |
| ⑤ 母が大半を相続 | 137,000 | 4,084 | 33,400 | 37,484 |
母の取得額は、自宅(特例適用後)・生命保険金・金融資産の合計。2次相続は、母の財産が増減せず、1次相続から10年以上後に起きると仮定(相次相続控除なし)。
税額の合計が最も少ないのは①(2,242万円)ですが、お母様の手元の金融資産が少なくなります。②は①との差が約119万円にとどまり、お母様の生活資金・介護費用も確保できるため、②を基本の分け方としてご提案します。お母様が大半を相続する⑤は、2次相続の税金が重くなり、合計は3,748万円まで増えます。
5. 相続税対策の効果予測
分割案②を前提に、代表的な7つの対策について、1次・2次相続税の合計がいくら減るか(効果額)と、実行にかかる費用を試算しました。

| 対策 | 内容 | 効果額 | 費用 | 効果÷費用 | 留意点 |
|---|---|---|---|---|---|
| 生命保険の活用 | 一時払終身保険(受取人:子)に500万円を加入し、非課税枠(500万円×3人)の残りを使う | 99万円 | ほぼなし | — | 保険料は預貯金からの置き換え。解約返戻金の水準を確認 |
| 退職金の検討 | 父は役員を務める会社がないため対象外 | — | 対象外 | — | 同族会社の役員の場合は死亡退職金の非課税枠(500万円×人数)を活用 |
| 生前贈与の検討(暦年贈与) | 孫4人に毎年110万円ずつ5年間贈与(計2,200万円)。相続人でない孫への贈与は相続財産に加算されない | 407万円 | ほぼなし | — | 贈与の都度、契約書を作り孫名義の口座へ振込。孫が遺贈を受けると加算対象に |
| 更地を貸家建付地にする検討 | 駐車場にアパート(建築費6,000万円・預貯金から支出)を建てる。土地は貸家建付地(評価18%減)、建物は固定資産税評価額から30%減 | 708万円 | 300万円 | 2.4倍 | 空室・修繕のリスク。建築費の回収は家賃収入で。登記・諸費用約300万円 |
| 養子縁組の検討 | 長男の子1人を父母の養子にする(法定相続人が1人増える。孫養子の相続税は2割加算) | 251万円 | ほぼなし | — | 家族の理解が前提。遺産分割の当事者が増える |
| 不動産購入の検討 | 預貯金5,000万円で賃貸用の区分マンションを購入(評価額約3,000万円) | 376万円 | 250万円 | 1.5倍 | 2024年からの区分マンションの評価ルールに注意。相続直前の購入は否認リスク。諸費用約250万円 |
| 相続時精算課税制度の利用 | 子2人が精算課税を選び、毎年110万円(基礎控除内)を5年間受け取る(計1,100万円) | 217万円 | ほぼなし | — | 基礎控除(年110万円)内は相続財産に加算されない。一度選ぶと暦年課税に戻れない |
効果額は、分割案②を前提に各対策を単独で実行した場合の1次・2次相続税の合計の減少額です。費用は税金以外の実行コスト(諸費用など)の目安です。
6. おすすめの対策の組み合わせ

| 1次相続税 | 2次相続税 | 合計 | |
|---|---|---|---|
| 対策前(分割案②) | 14,016 | 9,600 | 23,616 |
| 対策後 | 7,523 | 9,600 | 17,123 |
| 効果額 | △6,494 | △0 | △6,494 |
費用がほとんどかからず、財産の使い道も大きく変えない「生命保険の活用」「孫への暦年贈与」「相続時精算課税(基礎控除内)」の3つを組み合わせると、1次・2次相続税の合計は約649万円減ります。アパート建築・不動産購入・養子縁組は効果が大きい一方、リスクやご家族の事情に左右されるため、個別にご検討ください。
7. 納税資金の確認
| 納める人 | 相続税(対策後) | 相続する金融資産 | 判定 | |
|---|---|---|---|---|
| 1次相続 | 長男・長女 | 7,523 | 57,000 | ○ 預貯金で納付できる |
| 2次相続 | 長男・長女 | 9,600 | 45,000 | ○ 預貯金で納付できる |
単位:千円。相続税の申告・納付の期限は、亡くなった日の翌日から10か月以内です。
8. まとめ(ご提案)
- 分け方:お母様は自宅と金融資産2,000万円程度(分割案②)。自宅は小規模宅地等の特例を使える1次相続でお母様が相続する。
- 今年から始める対策:生命保険の非課税枠の活用、孫への暦年贈与、相続時精算課税(年110万円の基礎控除内)。
- 検討を続ける対策:駐車場のアパート活用、不動産の購入、養子縁組。収支・リスク・ご家族の意向を確認してから判断する。
- 遺言書:分割案②の内容で遺言書を作成しておくと、配偶者の税額軽減や特例を確実に使える。
注意点
- 2024年1月以降の贈与は、相続開始前7年以内(段階的に延長)の贈与が相続財産に加算されます(相続人への暦年贈与の場合)。
- 相続時精算課税を選ぶと、その贈与者からの贈与について暦年課税に戻ることはできません。
- 相続直前の不動産購入などは、財産評価が否認される場合があります。
- 本診断書の税額は概算です。実際の税額は財産の評価や特例の要件によって変わります。
ご家族の「相続財産診断書」をお作りします
親族と財産の情報をうかがい、2次相続まで含めた分割案の比較と、対策ごとの効果を試算します。診断書はPDFとExcelでお渡しします。
